直撃インタビュー

2015年の開業以来、的確かつ親身な診療で信頼を集める『たけいち内科胃腸クリニック』(福岡市早良区)。
「つらい」「苦しい」といった胃カメラや大腸カメラのイメージを変える、内視鏡検査への取り組みについて、院長の武市氏にお話を伺った。

-眠っているうちに検査が終わる、というのは本当ですか?

本当です。胃カメラや大腸カメラによる検査(内視鏡検査)を行う際、鎮静剤を使うことで、患者さんは「オエッオエッ」となるような苦痛やお腹を突き上げられるような痛みを感じることなく、ウトウトと眠っているあいだに検査を受けることができます。

-具体的に、どんなふうに行われるのでしょうか。

胃カメラの場合は、朝食を抜いてお越しいただきます。大腸カメラの場合は、ご自宅で下剤を飲んでお越しいただくか、こちらへお越しいただいてから、下剤を飲んでいただきます。当院はトイレ付きの個室を用意していますので、安心してご利用ください。初めてのご来院の場合は、問診や診察の後に検査を行います。

ひどく体調が悪いとか、風邪をひいてつらいとかいった場合は「日を改めましょう」という話になりますが、基本的に当日の検査が可能です。
まず胃カメラ検査は、咽頭麻酔をします。ベッドへ横たわっていただき、鎮静剤の注射をします。5~10秒もすれば眠った状態となるので、その状態を確認して、内視鏡検査へ移ります。

-通常は、空気を送り込むところ、炭酸ガスを使用されると伺いました。

その通りです。胃も大腸も、内部に異変がないかを観察するため、一般的にパンパンになるまで空気を送り込んでヒダを広げるのですが、空気の場合は、検査終了後もなかなか抜けず、膨満感が残って苦しいのです。一方、炭酸ガスの場合は、空気同様に送り込んだ分だけヒダを広げる一方、すぐに血中へ吸収され、肺から吐く息(二酸化炭素)として排出されるため、検査終了後の膨満感がありません。もちろん、カメラを入れているので、検査直後は多少の違和感は残るかもしれませんが、苦しさはないですね。

-検査自体には、どのくらい時間がかかるのでしょうか。

胃カメラの場合、何も問題がなく観察だけで終わる場合は、スコープを入れて抜くまで10分もかかりません。ポリープや潰瘍を見つけて、色素を振りかけて検査したり、組織をとったり…とした場合も、15分もあれば終わります。大腸カメラの場合でも、入れ始めて抜くまで15~20分でしょうか。

-それは早いですね!もっと大変なものだと思っていました。

それこそ、私が変えたいイメージなのです。大変となれば、どうしても足が遠のくでしょう。検査を受けて、早期発見・治療をして、元気で長生きしていただくためには、検査がラクであることが大切です。また、患者さんにとってラクということは、医者にとってもメリットがあります。

鎮静剤を使わない場合、患者さんが苦しまれるので十分な検査ができずに終わるケースもありますが、鎮静剤を使って、患者さんが眠られた状態で行うと、きちっと炭酸ガスを入れて、粘膜をきれいに広げた状態で診ることができるので、小さな病変でも見逃すことがなくなります。

-とはいえ、鎮静剤の使用に不安を感じる方もあるかと思います。

そうですね。お薬を体内に入れる以上、副作用がないとはいえません。ただ、鎮静剤にも様々な種類があり、当院では副作用が少なく、作用時間が短く、検査後は早く目覚めてあとにも残らない薬を選んで使用しています。また、消化器内科内視鏡の専門医として、そのコントロールには長年の経験と技術があります。

検査を受けていただく前には、リスクについても詳しくご説明しますし、ホームページでもご紹介していますので、ぜひご覧いただければと思います。

-実際に、どんな場合に検査を受けた方がいいのでしょうか。

基本は、40歳を過ぎてからでいいと思います。
ただ、若い方でも発症する病気もあるので、何か違和感や気になる症状がある場合には、消化器専門医に診てもらって、病気の可能性が疑われたら内視鏡検査を受けられることをおすすめします。

ちなみに胃カメラは、40歳を過ぎたら年1回、大腸カメラはポリープなどの異常のない場合は2~3年に1回、ポリープなど異常のあった場合は、できやすい体質かもしれないので年1回の検査が良いだろうと思います。

-先生は、なぜ内視鏡検査の専門医となられたのですか。

そうですね。父の背中をみて医者になろうと決め、「医者になる以上は、一人の患者さんの全身を診たい」と考えて内科へ進みました。その後、消化器内科の分野で有名な福岡大学筑紫病院へ入局して先生方の技術に圧倒されたのがきっかけです。自分も技術がほしい、手に職を付けたいと思いました。内視鏡は「経験」と「センス」です。

入れて、診て、抜くまでの全体の検査の流れや組み立てができるかどうか―。また、先輩に「検査する側は、される側のきつさを知っとかないかん」といわれて、鎮静剤を使わずに胃カメラや大腸カメラの検査を受けて、涙と鼻水だらけで「こんなにきついんか」と思ったことも、原点となりました。

-今後、さらに力を入れたいとお考えのことも教えてください。

より一層、患者さんの利益になることを提供していくことです。医療はどんどん発展・進歩しています。常に勉強・吸収して、お越しいただく患者さんにご提供できればと思います。
また、約30年住んでいる地に開業したのは、「お世話になっている方々へ恩返ししたい」という思いがあったからです。消化器の症状に限らず、気になるときは気軽にお越しいただき、皆様の健康を長くサポートできるようなクリニックでありたいなと思っています。

-先生の考える「健康の秘訣」は、何でしょうか?

まずは食事と運動です。一日の食事のカロリーを意識して献立を考えたり、気軽な散歩でもいいので日常的に体を動かすことは、健康維持に役立ちます。さらに、患者さんとお話していると、趣味や楽しみをお持ちの方はいきいきとされているように感じます。私でいえば、途中ブランクがありつつ、4歳の頃から参加している博多の祭り「山笠」がまさにそれです。私の息子も、4歳になって誘いました。何をするかもわからない状態でしたが、「とにかく走れ!」といったら、小学生のお兄ちゃんたちについて、一生懸命に走っていましたよ(笑)。

-可愛い!そういえば院内に山笠の手拭いが飾られていますね。

はい(笑)。かたくるしくなく、気さくに何でもご相談できるクリニックとして、これからも頑張っていきたいと思います。

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