コラム

胃の内視鏡検査ではどんなことをするのでしょうか?

これから胃の内視鏡検査を受けようとしている方にとって、自分の体の中にカメラのついた異物を挿入することには大きな抵抗感があるかと思います。

また、内視鏡検査にはどのようなメリットあるのかわからないと、なかなか気が進まないでしょう。

治療機器の進歩により、内視鏡検査では病変を見つけるだけではなく、その場でポリープを切除したり、ピロリ菌を洗浄したりといった効果的な治療も同時に受けられるようになりました。

ここでは、胃の内視鏡検査を受けるメリットや、検査の実際の流れを説明します。

◆内視鏡検査のメリット

胃の内視鏡検査は、一般的には「胃カメラ」とも呼ばれることがあるものです。

先端にカメラがついた細いチューブを口から挿入して、食道や胃・十二指腸などの上部消化管をテレビモニターに映し出し、がんやがんになりそうなポリープ、胃の炎症といった病変を見つけていきます。

 

普段は目で見ることができない部分を直接観察することができるので、胃がんの早期発見を目指して胃の内視鏡検査が広く推奨されています。

実際に、胃の内視鏡検査を受けることで胃がんの死亡率が低下するという報告もあり、得られるメリットは非常に大きなものです。(参照:国立がん研究センター『有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版』)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/56/2/56_310/_article/-char/ja/

 

近年、治療機器の進歩により、内視鏡でより高度な治療を施すことができるようになってきました。

内視鏡に設けられたチューブから注射針やスネア(ポリープを切除する器具)、電気メスなどを通し、遠隔操作することで胃がんになりそうなポリープを切除することができます。

また、胃の粘膜を採取することで、胃潰瘍の原因になるピロリ菌を検査することもできます。

 

これだけの検査を胃の隅々まで行っても、観察だけの場合では10分程度、追加の検査をしたり組織を切り取ったりしても20分程度と短い時間で完了するのが内視鏡検査の大きな特徴です。

◆内視鏡検査の流れ

では、実際に胃の内視鏡検査を受けるための手順を確認してみましょう。

 

検査前日

○胃の中に食べ物が残っていると十分に観察することができないので、検査の前日の夕食は9時までに軽めに済ませ、それ以降の飲食は控えてください。(水は飲んでいただいても大丈夫です。)当日も食事は控えてください。休薬していただくこともあるので、薬を服用されている方は事前にご相談ください。

 

検査当日

○クリニックについたら、入れ歯やめがね、時計などをはずし、口紅もふき取ってください。

○検査前に、胃の粘液を減らし、胃の中を綺麗に洗浄する薬を飲んでいただきます。

○次に、喉に麻酔を施す飲み薬をしばらく喉にためた後、ゆっくり飲んでいただきます。

○気分を鎮める鎮静剤を注射します。

○ベルトを緩めて検査台に上がり、左側を下にして横向きに寝ていただきます。

○歯を傷つけないようにマウスピースをしていただき、内視鏡を挿入します。

○内視鏡が挿入されている間は力を抜いて楽にしてください。唾液は飲み込まずに吐き出すようにしてください。検査は通常10分程度で完了します。

 

検査後

○検査が終了しても喉の麻酔はしばらく切れません。検査後1時間は飲食を避けてください。また、検査当日は薬の影響が残っているので、車の運転や激しい運動、入浴は控えてください。

○もし気分が悪くなったり、嘔吐してしまったりした場合には至急ご相談ください。

 

このように、検査前後の注意事項は何点かありますが、検査自体は10分程度と非常に短い時間ですみます。

とはいえ喉に異物が挿入されることに抵抗感がある人も多いのではないでしょうか。

実際に、従来の内視鏡検査では、カメラを挿入することで嘔吐反射を繰り返してしまったり、気分が悪くなってしまったりするケースも多々ありました。

院長である私も、胃カメラや大腸カメラを使った検査を受け、そのつらさを経験しています。

だからこそ、たけいち内科胃腸クリニックでは内視鏡検査は大変というイメージを変えるため、さまざまな工夫を行っています。

その中で行っているのが、鎮静剤を使って苦痛を感じにくくする取り組みです。

鎮静剤は中枢神経に働きかけて眠ったときに近い状態にする薬です。

ぼーっと眠ったような状態になり意識レベルが低下するため、内視鏡が挿入される違和感や苦痛が軽減する効果が期待できます。

 

また、胃の内部を隅々まで観察するために、事前に空気を送り込んで膨らませ、ヒダを広げるのが一般的ですが、お腹が張った感覚が残って苦しいことがありました。

当院では、空気の代わりに体内に吸収されやすい二酸化炭素を使い、張り感が残りにくいように工夫しています。吸収された二酸化炭素は息として排出されるのでご安心ください。

◆検診は年1回受けましょう

 

胃がんはがんのなかでは大腸がんについで2番目に患者数が多く、部位別の死因でも3番目です。(参照:日本対がん協会『胃がんの基礎知識』

http://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/%E5%90%84%E7%A8%AE%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98/%E8%83%83%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98

食生活が密接にかかわっていて、とくに塩分の過剰摂取が影響していると考えられています。

日本人は食塩の摂取量が世界的に見ても多く、胃がんのリスクが高いことが知られています。

そのため、40歳を超えたら年に1回は胃カメラ検診を受けていただきたいと思います。

また、若いうちから発症する胃腸の病気もあるので、病気の可能性があると診断された場合には躊躇せずに胃の内視鏡検査を受けることおすすめします。

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