コラム
大腸がんを早期に発見できる内視鏡検査のメリット
大腸がんは食の欧米化に伴って増加傾向にあり、現在、日本人のがんの患者数のうち最も多いのが大腸がんです。(参照:日本対がん協会『大腸がんの基礎知識』)
また、年間4万人以上が亡くなっている非常に恐ろしい病気のひとつでもあります。
しかし、大腸がんは早期のうちに正しく対処できれば治りやすいがんのひとつで、stage 1で外科治療を行った場合の5年生存率は9割以上という結果も出ています。(参照:日本消化器内視鏡学会『大腸 ESD/EMR ガイドライン』)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/56/4/56_1598/_article/-char/ja/
このようなことからもわかるように、大腸がんの治療はいかに早期に発見できるかがポイントなのです。
そこで注目されているのが大腸内視鏡検査です。
◆大腸内視鏡検査とは
大腸内視鏡検査は、先端にカメラがついたチューブ状の内視鏡を肛門から挿入して、大腸や小腸の一部に発生したがんやがんになりそうなポリープ、その他の炎症などの病変を見つけるための検査です。
一般的には「大腸カメラ」とも呼ばれることがあります。
内視鏡では、大腸の中を観察するだけではなく、チューブの中に注射針やスネア(ポリープを切除する器具)、電気メスなどを通すことでポリープや早期の大腸がんを切除することもできます。
一般的に、大腸がんは初期段階では自覚症状が少なく、進行を見逃しやすいがんの一つだとされています。
しかし、大腸内視鏡検査では普段は目に見えないところを直接観察・治療することができるため、大腸がんの早期発見・早期治療に有効であると考えることができるのです。
また、小さなポリープであれば検査中にそのまま切除することができるため、患者さまの精神的・経済的な負担も軽減することができます。(大きなポリープやがんの切除は入院する必要があるため提携する医療機関をご紹介いたします。)
◆入り組んだ大腸にチューブを通すための工夫
しかし、大腸に内視鏡を挿入するにはひとつ技術的な難点があります。
それは、比較的まっすぐな形状をしている食道や胃(上部消化管)に比べて、大腸は直腸やS字結腸など、複雑に入り組んだ形状をしていて、さらに全体でおよそ2mもの長さがあるということです。
曲がりくねった長い大腸の奥深くまで柔らかいチューブ状の内視鏡を挿入するためには熟練の技術が必要で、場合によっては患者さまが下腹部に圧迫感や痛みを訴えることもある難しい検査でした。
現在、治療危機の進歩によって装置の小型化や、可変性・機動性の向上などが図られ、以前よりも繊細に作業ができるようになったとはいえ、いまだに難しい作業であることには違いありません。
しかし、内視鏡検査を躊躇しているうちに病気が進行してしまっては大変です。
そこで、たけいち内科胃腸クリニックでは、患者さまにより安心して内視鏡検査を受けていただくことができるように、鎮静剤を使った上で検査をしています。
鎮静剤は中枢神経に働きかけて意識レベルを下げる薬で、眠ったときのようなボーッとした状態で検査を受けることができるため、内視鏡を挿入したときの違和感や苦しみを軽減することが期待できます。
◆検査を受けていただく際の注意点
大腸内視鏡検査では、事前に大腸を空にしなくてはいけません。
そのために、いくつか守っていただきたいことがあります。
検査前日
○前日は夕方5時までに、なるべく消化のいいもので食事を済ませてください。
繊維質が多い海草やきのこ類、野菜、果物類は食べないでください。
○夕食後に下剤をお飲みいただき、その後は飲食を控えてください。(水は飲んでいただいて結構です。)薬を服用されている方は事前にご相談ください。
検査当日
○当日は飲食を一切控えていただきます。
○事前に下剤による前処置を行うため、時間通りにお越しください。
○前処置として、大腸を洗浄するための下剤を飲み始めます。数回に分けて合計1~2 L程度飲みます。何度かトイレに通うと液体のような便になります。透明な便が出るようになったら準備は完了です。
○検査台に横になっていただき、鎮静剤を注射します。
○力を抜いて楽にしていただき、内視鏡を挿入します。入れ始めてから抜くまで、おおよそ20分程度ですみます。
検査後
○当日はお腹が張りますので、オナラをどんどん出してください。
○当日は、まだ薬の影響が残っているので、車の運転や激しい運動、入浴などは控えてください。
○気分が悪くなったり、気になる症状があったりするときには至急ご相談ください。
◆2,3年に一度の検診を
大腸がんは食文化の変化にともなって、日本では増加傾向にあり、今後も増加すると考えられています。
内視鏡を使った大腸の検査では、便潜血検査やS状結腸内視鏡検査よりも高い感度で大腸がんを発見でき、大腸がんによる死亡率を低下させる効果も期待できると考えられています。(参照:国立がん研究センター『大腸がん検診』)
http://ganjoho.jp/med_pro/pre_scr/screening/screening_colon.html
がんを早期に発見するために、2~3年に一度は大腸内視鏡検査を受けて欲しいと思います。
また、ポリープが見つかった場合には、できやすい体質かもしれないので年に1回検査を受けて、注意深く見守っていただきたいと思います。
大腸の構造は入り組んでいるため、口から入れて胃の病変を調べる上部内視鏡検査よりも高い技術が必要です。
長年内視鏡検査に力を入れてきたたけいち内科胃腸クリニックにぜひお任せください。
気さくになんでも相談できるクリニックとして、皆様の健康をサポートさせていただきたいと考えています。